イタリア美術紀行ーヴェネツィア編・その2(ヴェネツィア・ビエンナーレ/アルセナーレ会場)

 

ヴェネツィア・ビエンナーレ観覧2日目、アルセナーレ会場。れんが造りの巨大な造船所跡の空間にバラエティーに富んだ作品があって、個人的にはジャルディーニ会場よりもさらに楽しく観れました。印象に残った作品をアップしておきます。

 

中国のQiu Zhijieのインスタレーション。中国の伝統的な調度品などの形態をモダンな素材とデザインで解釈し直しているように見え、文化的な混交を表現しているように見えました。

 

 

アメリカのMelvin Edwardsの鉄のレリーフです。古い機械や道具のパーツを再構成して作品化しています。

 

 

アフリカ、シエラレオネのアーティストの作品。兵器をデザインするということと、それを嬉々として細部に至るまで想像力を働かせて描き込んであるということが何やらアンビバレントな感情を喚起させますが、絵の好きな少年なら一度は子どもの頃にこんな絵描いたよな、と思わずにはいられないような面白いドローイングでした。

 

 

ドイツのアーティスト(Katharina Grosse)の作品。今回のビエンナーレのテーマは "All the World's Futures" ですが、廃墟や戦争や死をモチーフにした作品が比較的多く見受けられたように思えました。

 

 

現在はトリニダードに住んでいるらしいクリス・オフィリの展示が突然現れびっくりしました。私は彼の(特に初期の)作品が好きなので初めて生で観れてうれしかったです。

 

 

アルゼンチンのアーティスト。右に見える作業場で微調整した飛行機を延々と飛ばせてみせるパーフォーマンスに延々と見とれてしまいました。

 

 

それにしてもアルセナーレ会場の中でもやっぱり圧巻だったのは、「巨大逆さまお爺さんたちのカテドラル」とでも言うべきゲオルグ・バゼリッツの作品。表現の突き抜け感が素晴らしくて、観ていると無性に嬉しい気持ちが沸き上がって来ました。

 

 

トルコのアーティストの作品。小さな液晶の画面にID写真のような人型が映し出され、それがシート状につなぎ合わされて宙に浮かんでいます。

 

 

南太平洋の島国ツバルのアーティストの作品。水と霧と光が生み出す表情が美しかったです。

アルセナーレ会場も半日かかりましたが、とにかく広い会場だったので、もしかしたら全部観れていないかも。そんなわけで(ヴェネツィア島内各地に点在している)その他の会場での展示までは手が回りませんでした。(Y.O)

 

 

(この文章は、松尾美術研究室のブログ "マツオ・アートログ”への2015年10月16日付けの投稿を転載したものです。)