イタリア美術紀行ーフィレンツェ編・その2(ウフィツィ美術館)

 

9 月19日の昼からは、いよいよウフィツィ美術館です。ここも多分31年ぶり(?)の再訪になります。
ウフィツィ美術館はイタリア・ルネッサンス以降の絵画のコレクションでは質・量ともに最大級で、建物自体も16世紀末のフィレンツェ政府の庁舎だったもの。とにかくたくさんの量の作品を観ることになるので、気合いを入れて向かいました。

 

 

入口での手荷物のチェックなどを経て階段を3階まで上がると、まず第1室にジオット、ドゥッチオ、チマブーエの巨大イコンがそびえる大きな空間があります。たちまちこれらの作品の素晴らしさに釘付けになってしまい、4〜50分はこの部屋から動けませんでした。はじめからこんな調子では今日中に最後まで行き着けるのだろうか、と不安を感じながらさらに部屋を進んで行きます。

 

 

ウフィツィ美術館の収蔵する膨大な絵画をほぼ時系列的に観て行った中で、第1室のジオットなどの他に今回最も心に残ったのは、フィリッポ・リッピとレオナルド・ダヴィンチ、そしてミケランジェロでした。フィリッポ・リッピとレオナルド・ダヴィンチからは表現するということの「過剰さ」(から来る異様さ)を強く感じました。(あと、パルミジアニーノからも。)そしてミケランジェロの「トンド・ドーニ」からは、そのような表現の過剰さが異様なオーラを放つと言うよりは、何か、技術や作品に込めるものが最高度に集約されて、あたかも突き抜けてしまっているような凄さを感じました。

 

 

ただ、レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロといったルネッサンスのスターたちも、ヴェロッキオ、ギルランダイオ、ペルジーノなどそれぞれの師匠からの影響をしっかりと受け継いでいるな、という事も強く感じました。そうした歴史の厚みをリアルに感じられるのは、時系列的、あるいは同時代的に作品を比較しながら観れるウフィツィのような巨大な美術館の利点だと思います。

 

 

クライマックスのボッティチェリの部屋など3階を一通り見終わって、「あれ?ラファエロやティツイアーノやカラヴァッジオがなかったな?それに以前はレンブラントやルーベンスなどもあったはずだが?」と呑気に考えながら階下に降りていったら、まだ別室や2階にそれらの作品が大量に残っていました。

 

 

閉館間際まで6時間あまり。館内を行ったり来たりしながら、気になる作品を目の奥に焼き付けるようにじっくりと見つめてきました。(Y.O)

 

(この文章は、松尾美術研究室のブログ "マツオ・アートログ”への2015年10月20日付けの投稿を転載したものです。)