「犬と歩行視 Part-2」/京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA

 

11月12日、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAに「犬と歩行視 Part-2」展を観に行きました。
’83年〜’91年にかけて毎年、かつて京都市美術館で開催されていた無審査の展覧会「京都アンデパンダン展」内の一室を占めて展示された、林剛+中塚裕子両氏による一連の大規模なインスタレーションの再制作と資料の展示で構成された展覧会です。

IFでは、’83年作品「The Court 天女の庭 / テニスコート」の再制作。「テニスコート=法廷」を模した大規模なインスタレーションがギャラリー全部を使って展示されていて壮観です。
2Fでは、両氏による9年にわたるコラボレーションをめぐる資料(壁面ディスプレイ、模型、覚え書き、図面、参考文献、3台のモニターでは再現されたインスタレーションの3D映像)が展示されています。しっかりした調査と、手間も時間もかけたであろうすごく充実した見応えのある展観だと思いました。

この「林剛+中塚裕子」作品と、同様に美術館内の一室を使って大規模なインスタレーションを出品していた「小杉+安藤」作品は、かつての京都アンデパンダン展での目玉とも言え、私が学生時代、毎年この二組がどんな作品を出しているのかを楽しみに京都アンデパンダン展に足を運んでいたのを思い出しました。

もう終了しましたが、今回の展示にあわせて関連のシンポジウムも何回か開催されたりと、こうした当時の京都の現代美術の検証は本来ならば美術館レヴェルでやってもおかしくない仕事だと思いますが、美術館も法人化して集客をシビアに求められる現代の状況ではなかなか難しいのかも知れません。そのような中、大学としてのネットワークを有効に活用しながら調査や制作を進め、地道な研究を具体的に眼に見えるかたちで公開できるのも大学付属のギャラリーの面目躍如だとも思います。今後の取り組みにも期待したいと思います。(Y.O.)

■展覧会概要
会期:2013年10月5日(土)- 2013年11月17日(日)
会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA1,2
休館日:月曜日
時間:11:00 – 19:00(最終入館18:45まで)
観覧料:無料

 

(この文章は、松尾美術研究室のブログ "マツオ・アートログ”への2013年11月13日付けの投稿を転載したものです。)