1学期授業もうすぐ終了

1学期授業が7月22日(水)で終了し、25日(土)の自由登校日を挟んで27日(月)から4週間に渡る夏期講習が始まります。

 

4月9日から始まった1学期授業は、新型コロナウィルス感染防止のために開始早々の12日から一時中断を余儀なくされました。そこから2カ月足らずの休校期間を経て6月2日の登校開始まで、とにかく受講生の皆さんの学びをなんとか継続できるよう、自宅でできる課題のメールやインターネットを使った通信添削での指導やZOOMを使ったオンライン授業など、試行錯誤の中で皆さんをバックアップをしてきました。

 

いつもであれば新学期のはじめは、事前の課題説明が多く必要な、基礎的な課題をこなしてもらうのですが、ちょうどそのタイミングで休校しなければならなくなったために、自宅で取り組んでもらう基礎課題の説明のためのコンテンツを作りホームページの「受講生専用ページ」にアップする作業にとりわけ時間がかかりました。

また、受講生の皆さんからメールの添付で制作したデッサンなどの画像が帰ってくると、それを添削してメールで返事する作業も大変で、普段教室で口頭で個人講評するならばそんなには長くなりませんが、イラストレータやフォトショップというソフトを使って画像に添削ポイントを書き込んだり、なるべくメールで講評をわかりやすく伝えるために文章を推敲しているとやたらと時間がかかってしまっていたので(1枚の作品あたり約2時間くらい)、休校中なのに教室を開校して授業していた時よりずっと忙しかったです(笑)。

 

でも、皆さんに自宅での課題に熱心に取り組んでもらえて、力作もたくさん見せてもらえました。

 

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デッサンの一番上の2点は、そのような休校中に取り組んでもらった作品からのものです。

 

●かぼちゃは、形が比較的シンプルながら、大きなボリュームや色や質感を鉛筆のタッチを粘り強く重ねることで表現しなければならないので、自宅でじっくりと取り組んでもらうには良いモチーフだと思います。作者は高2生ですが、細部の表情を丁寧に観察しながら毎日コツコツと描き込み、力作を仕上げてくれました。

 

●花のデッサンは、毎年新学期のはじめの課題として経験者・初心者にかかわらず取り組んでもらっています。今回は自宅でそれぞれ好きな花を用意して描いてもらいました。このデッサンの作者は、花や葉、茎、ガラスの花瓶などの観察が非常に丁寧で、形や色、質感などが非常によくわかります。特にパンジーの花びらはその薄さや柔らかさが伝わってきてすごくいいと思いました。また、地面に落ちている影を丁寧に描いているおかげでガラスの素材感や、光がどれくらいの強さでどの方向から来ているのかなどが伝わって来ます。

 

他のデッサンは授業が再開してから教室で描いてもらったものです。

 

●上から3番目のデッサンも基本課題の一つです。最初の基本形態の練習を踏まえて、徐々にモチーフの数を増やしていきますが、この課題では特に軍手などの形を変化させられるモチーフの扱いなどに注意して描き始めます。最終的には3種類のモチーフの質感の描き分けができているかどうか確認しながら仕上げていきます。作者(高2生)は時間がかかりながらも粘り強く取り組み、描き上げてくれました。

 

●4番目と5番目のデッサンは同じ作者のものですが、すでに力を持っている人なので、基本的な事柄の確認をしつつ、描き進めながらどこまでモチーフや空間のあり方に迫っていけるのか、時間をかけて追求してもらっています。2点とも、組まれたモチーフの形やモチーフ同士の関係を大きく捉えていく描き出しの段階から、それぞれのモチーフの質感や細部の表情、細かい空間のあり方を精密に描く完成段階まで高い集中度で仕上げた力作だと思います。

 

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色彩も、1学期中は基本課題をこなしながら色彩理論や構成の基本などを理解していってもらう期間です。

 

●色彩の1番上の作品は、いくつかの幾何学形態を構成してベタ塗りで彩色する基本的な色彩構成の課題ですが、限定された形とそれを組み合わせてできる形をいかに意図に沿って構成して色面を作り、秩序感のある配色ができるかが問われています。要素と色彩が限定されているが故にそれを最大限使いこなして効果を上げなければならないため、むしろ力量が必要な課題だと思います。作者は毎回、講師と一緒に構成や配色をあれこれ悩みながら取り組み、作品毎に進歩しています。

 

●2番目の色彩は、ピーマンを観察してトーンや面の変化を見つけ出し、それを使って色面に分割して彩色する、色彩の基本課題の一つです。できるだけピーマンの立体感を崩さないように明度をコントロールするところがポイントです。作者はピーマンの形からそのものらしい形を見つけ出し、色相、彩度とも工夫しながら仕上げてくれました。

 

●3番目は「イメージ表現」の課題で、上の2点に比べて絵画的な要素が入って来ます。これはマザーグースの有名な一節をテーマに自由に色彩で表現したものです。作者(高2生)は絵の具による表現の幅を広げようと、ベタ塗り的な表現だけではなく、滲み、点描、薄塗りなど色々と工夫しています。画面構成も動きのある楽しい作品になりました。

 

●4番目の作品は、椅子をテーマにした基本課題の一つですが、作者(中3生)は、雲でできた椅子と雲の合間から見える街の風景を時間をかけて緻密に描き込み、一枚のイラスト作品として見ても充実感のある作品を仕上げてくれました。とりわけシックな配色で薄塗りで丹念に描いた街の描写が素晴らしいです。

 

●5番目の作品はキャラクターデザインの課題です。毎回あるテーマを自由に解釈し、キャラクターとそのキャラクターが活躍する世界観を創造して絵と文章で表現します。作者は毎回、独自の視点でよく考えられた世界観のもと、ユニークなキャラクター造形に取り組んでくれています。最近使い始めたペンやマーカーの扱いも上達して来ました。

 

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立体は、自宅でなかなか制作しづらく、また画像だけでは十分講評もできないので、休校期間中は課題が進みませんでしたが、登校できるようになってから、やはりこれも基本課題から順次こなしてもらっています。

 

●写真は、基本課題の一つで4面体を使った構成です。似た形態を秩序感を持って構成すること、緊張感を持って立たせることがテーマです。

 まずはケント紙を加工した立体で基礎的なことを理解してもらった上で、様々な素材やテーマに取り組んでもらいながら立体を作る上での感覚や技術を磨いていきます。

 

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ここで紹介した作品以外にも充実したデッサンや色彩などがたくさん生まれました。1学期の間に取り組んだ基礎的な課題を踏まえ、夏期講習ではさらにそれを深めていきたいと思っています。(Y.O.)