2学期授業と冬期講習終了、9月〜11月の入試結果


12月27日(金)は、2学期授業に引き続き行われた冬期講習の最終日でした。

 

2学期と冬期講習では、1学期や夏期講習中に培った基礎力を踏まえ、主に私立大の総合型選抜や学校推薦、特待生入試など、間近に迫った入試に対応すべく実践的な練習に入って行きました。

 

デッサンにおいては、試験の制限時間の中での効率の良い描き進め方や、絵をさらに魅力的に見せるための注意点、描き込みの精度を高めていくこと、などです。

 

体験型の総合型選抜への対策としては、実際の体験授業での課題に近いものを想定して取り組んでもらうことで、体験授業当日にどのような課題にも落ち着いて対応できるようにしました。

 

また、エントリシートの自己推薦文の指導など、実技以外の指導も行いました。

 

国公立大1志望の受験生や美術系高校志望の中学生は、来年2月の入試を睨んで実践的な課題をこなし、実力をアップできるよう課題に取り組みました。

 


9月から11月までの間、12名の受験生が受験し、延べ16学科の合格を得ました(総合型選抜の場合は「出願可」を含む)。内訳は以下の通りです。

●京都精華大学 6

●嵯峨美術大学 3名(うちスカラシップ合格1名)

●嵯峨美術短期大学 3名(うちスカラシップ合格1名)●大阪芸術大学 2名

●成安造形大学 1名(特待生合格)

●京都芸術大学   1名


おめでとうございます!

 


そのほかの受験生や今回の受験で進学を決めなかった受験生は、年明けに国公立大や私大の合格を目指します。引き続き頑張っていきましょう。

 

高校1、2年生や中学生も、着実に練習を積み重ねることによって徐々に実力が底上げされてきています。特に高校2年生はそろそろ志望校を考慮しつつ練習の方向性を決めていきたい時期になってきました。

 

また、美術系高校を受験する中学3年生は、受験が迫ってきましたので、ここからはさらに本番を見据えて練習を重ね、しっかりと実力が出せるようにしなければなりません。

 


2学期と冬期講習中に制作された作品の中から6点だけ紹介します。

 

1)最初のデッサンは高校3年生の作品です。これは京都市立芸術大学の過去問題です。作者は京都市立芸術大学志望ではありませんが、練習のために取り組んでもらいました。

モチーフの米袋や洗濯ばさみを、立体感や見せ所を踏まえつつうまく演出して構成しているばかりか、4つ切り画用紙に収めた際に生じる「地」の形まできちんとコントロールしているところ、また、大きな量感を損なうことなくディテールが作っている空間をうまく作れていること、各所に当たる光と陰が作るトーンのニュアンスをよく観察しつつ米袋のクラフト紙の表面のシワや厚みまで感じさせるよう丁寧に描写していることなど、作者の力量を存分に感じることができる力作になりました。

このように、この絵の良い点を分析することはできるのですが、一番すごいところは、モチーフ自体は単なるどこにでもある米袋なのに、それを超えて「古典的」と言って良いような風格を備えた「何か」が現れているところです。作者の、誠実にモノに迫っていく姿勢がこうした特質を生みだしているのだと思います。

 

2)2番目のデッサンも高校3年生の作品です。これも京都市立芸術大学の過去問題です。この作品では、モチーフ全体を大きく捉え描き進めること、描きすぎて画面を鈍くしてしまわないことなどを注意しながら描き進めてもらいました。作者の長所である形の正確さや丁寧な観察眼を生かしつつ、比較的短い時間で手際良く完成まで持っていくことができました。今後入試本番が近づくにつれてこうしたアプローチが大切になってきますが、この作品で手応えを感じてもらえたのではと思います。

 

 

3)3番目のデッサンは、成安造形大学の今年の特待生入試課題に取り組んだ受験生の作品です。課題として提示されたモチーフを工夫して魅力的な構成を作り、制限時間のなかで可能な限り精密に描き込めるよう練習しました。おそらく同じモチーフを20枚くらい描いたのではないでしょうか。作者はモチーフを持ち帰り、構成や描写の部分練習を自宅でも続けていました。粘り強く反復練習する作者の努力が報われることを願いつつスタッフも指導していましたが、本番では培った作者の力が十分に発揮され、見事特待生の資格を得ることができました。

 

4)4枚目の作品は、すでに大学合格を果たした受講生が引き続き練習を続けるなかで取り組んだ着彩写生です。作者はすでにしっかりとしたデッサン力を持っていますので、あとは透明水彩や筆の扱いに慣れること、モチーフから感じとった色彩を、混ぜたり重ねたりして画用紙の上に再現していくことを練習します。

作者は、主に着彩写生の経験豊富なF先生の指導を受けながら少しずつ丁寧に描写を進め、2作目にして、モチーフにあたる光やそれぞれの質感を感じさせる非常に見応えのある絵を描き上げました。

 

5)5番目の色彩作品は高校2年生の作品で、色彩構成の基本課題の一つです。「風」の漢字を必ず使い円弧と直線で表現します。作者は、全体のイメージを損なわないよう、明度設計を考慮しつつ各色面を何度も塗り直しながら透明感のある作品を描きました。曲線と直線が作るおおらかなでありながら緊張感のある構成と、それを生かしながら色彩的にもうまく見どころを作れている秀作だと思います。また、丁寧なベタ塗りの作業もこの作品の魅力になっています。

 

6)最後は、キャラクターデザインを志望する受験生の作品です。作者は常に課題に対していくつものアイディアを出してくる豊かな発想力と、アイディアを表現する際に適切な構成を思いつく力を持っていました。そうした長所を生かしつつ本当にたくさんの課題をこなし、人物表現や透明色彩での彩色に慣れることなど、着実に練習を重ねていきました。大学に入学後も、これまで培った発想力や表現力を活かして楽しい作品を作ってくれると期待しています。

 

この他にも、2学期〜冬期講習ではたくさんの秀作が生まれました。一点一点の作品は受講生の皆さんの成長の過程を示しています。

 

 


受験生は志望校合格に向けて、来年度以降に受験を控える人も、これまでの練習が実を結びそれぞれに飛躍の時期を迎えていると思います。みなさんの力をさらに高め、希望の進路に導いていけるようスタッフも頑張っていきたいと思っています。(Y.O.)