






六角舎アートスクールでは、3月15日(土)に2024年度3学期授業が終了し、22日(土)からの春期講習で2025年度のカリキュラムがスタートしました。
3学期の目標は、受験生は国公立入試に向けての追い込みをしていくことです。1〜2学期に時間をかけて課題に取り組むことでつけて来た力を受験の現場で発揮できるよう、それぞれの志望校の入試問題を想定した課題を、共通テスト明けからの約1ヶ月の間(中期試験を受ける受験生はさらにそれ以上の期間)、直前講習の時間帯を含めて毎日6時間以上、集中して取り組んでもらいました。
また、私大の一般入試を受ける受験生にはできる限り課題を想定して取り組んでもらいました。
美術系高等学校を受験する中学生も、試験が実施される2月中旬までデッサンとイメージ表現の課題に集中して取り組みました。
今年受験しない1〜2年生にとっても、3学期はこれまで積み重ねて来た練習の成果が形となって現れてくる時期です。受験生に比べると練習回数は少ないですが、練習の進み具合を見ながらそれぞれにステップアップしてもらえそうな難度の課題に取り組んでもらいました。
2024年度3学期授業で制作された作品の中からいくつかをご紹介します。
1)一番上のデッサンは高校3年生が直前講習の期間中に描いた作品です。
作者は4種類のモチーフを画面を大きく使って適切に構成しました。このように何種類ものモチーフが組み合わさると空間のあり方をコントロールするのが難しくなりますが、作者はそれぞれのモチーフ間の空間や質感の違いを十分意識しながら的確に表現することに成功しています。作者は、これまでのデッサンではややトーンがくぐもって質感が弱くなったり、細部に拘泥して大きな空間のあり方が損なわれる傾向がありましたが、このデッサンではそうした欠点が克服されています。作者にとって大きくステップアップした記念碑的なデッサンなったと思っています。
2)2番目のデッサンは、高校3年生が私大の受験終了後にさらに実力をアップさせるために描いたデッサンです。受験を前提にしたデッサンではどうしても試験の時間に対応する描き方を強いられますが、そうした縛りがなくなると時間をしっかりかけて納得のいく仕上がりを追求することができます。作者は持ち前のデッサン力を発揮して丁寧に細部を観察し、充実したデッサンとして仕上げました。特に貝の手前の細密な描写や、細部を丁寧に観察しながらも貝の持つ大きなボリューム感を表現できているところが素晴らしいと思います。
3)3番目のデッサンは中学三年生が高校受験の対策として描いたデッサンです。ステンレスボウルとかぶが画面に大きくバランス良く配置されています。ボウルの楕円がやや甘いもののモチーフの形も的確です。また、細部まで丁寧に観察されたトーンや質感の表現が秀逸で、特にステンレスボウルの写り込みの表情や影の描写も含めてしっかりと時間対応できていて素晴らしいと思います。
4)4番目の作品は、高校3年生が受験前に描いた着彩写生です。作者はたくさんの質感の異なるモチーフをバランス良く構成しています。今回のモチーフでは、特にペットボトルの透明な立体感や、クッションのふわりとした毛並みの表現が難度が高かったと思いますが、作者は絵の具の濃度や筆使いなどを工夫しながら丁寧に観察し描写しました。また、描き込みやトーンの強弱をコントロールして奥行き感をしっかりと表現できました。
5)1番目の色彩課題はモチーフ構成の練習問題で、そら豆をモチーフとして様々に観察して魅力的な表情を発見し、画面構成して色彩によって表現します。
作者はそら豆の形状から発見した部分を画面上に大きく構成し、モチーフの質感の違いなどを、薄塗り、ベタ塗り、タッチを生かした表現などを適切に用いて魅力的な画面としてまとめています。
6)2番目の色彩課題は、中学3年生が高校受験のための対策として制作した作品です。
前後感を大きく生かしたダイナミックな空間を、絵の具の濃度をコントロールしながら適切に表現しています。また、陰影や薄塗りの色彩の効果によって光に満ちた空間が魅力的に表現されています。
7)3番目の色彩はイメージ表現の基本課題で、電球といくつかの資料を用いて画面を構成し表現する課題です。中学1年生が3学期授業の中で制作しました。
作者は資料にあった画像の中からトナカイを選んで画面いっぱいに配置し、そのトナカイがクリスマスツリーになって周囲に鳥や昆虫が集う楽しい画面を作りました。青い鳥の構成のバランスや、筆使いの工夫によって質感を出そうとしているところ、電球の光がトナカイの顔や装飾などに反映しているところなど特に魅力的だと思います。
六角舎アートスクールの新学期授業は、4月8日(火)から
順次始まります。
今年度に受験を控える受講生、そして来年度以降に受験する予定の受講生、それぞれ新しい気持ちで頑張っていきましょう。我々スタッフもこれまでの経験や反省点を糧にして皆さんを一生懸命サポートしていきます。(Y.O.)