潮江宏三先生特別講座「西洋美術のツボ」開催のお知らせ



六角舎アートスクールでは、潮江宏三先生(京都市立芸術大学名誉教授・前京都市美術館長)をお迎えし、「西洋美術のツボ」と題する年間6回の連続講座を開催しています。

 

西洋美術史の泰斗・潮江先生が、西洋美術を見て楽しむための糸口として、文字どおり「ツボ」とも言える特有のポイントに焦点を当てて、解きほぐしていく講座です。

当アートスクール受講生に限らず、広く美術に関心のある方に聴講していただけます。

 

今期も、前回より引き続き、潮江先生のご専門でもある「風景画」についてじっくりと講義していただきます。お楽しみに!(以下、今回の講座の内容についての潮江先生からのコメントです。)

 

テーマオランダ風景画」

オランダ美術の「黄金時代」、17世紀オランダの風景画は、イギリスやフランスにおける近代風景画の成立に大きな影響を与えたことで知られている。それは、16世紀フランドル(南ネーデルランド)の「世界風景」とは一転して、西欧絵画の正統となった「遠近法的」視点を用いて自分たちの国土の身近な景観を描こうとする、自然主義的ないしは写実的制作姿勢を持った風景画であったことに由来する。19世紀イギリスやフランスの風景画家たちは、自分たちの風土の美しさに目覚めた時、それを明るいイタリアの光で描くよりも(「理想主義的風景画」風に描くよりも)、ほぼ同じ緯度にあり、気候風土、植生もよく似ているオランダの風景画に共感を懐き、そこに解決法のヒントがあると考えたということである。

今回は、そうした「オランダ風景画」の魅力とその諸相を楽しみたいと思う。

 

●日程

第22回目:2025年4月13日(日) オランダ風景画の成立から「モノクロミストたち」の活躍へ

オランダ共和国が形成される北ネーデルランドは、15世紀、16世紀を通じて、確かに自然風景に対して優れた感性を有する画家たちを輩出した地域ではあったが、フランドルのように「風景画家」はいなかった。そうした地域に、まったく新しい視点での「風景画」が誕生し、「風景画家」という職業が成立して行く過程をたどり、黄金時代前半の「モノクロミスト」と呼ばれる風景画家たちの活動を跡付ける。

 

第23回目:5月18日(日) 黄金時代最盛期の風景画家たち―光の感触へ

ヤコブ・ファン・ロイスダール、ホッベマを軸とする平坦な土地に森と集落が点在するオランダの風土を中心に描いた代表的画家たちの活動、それに加えて17世紀後半に入って顕在化してくる「自然の光」に目覚めたカイプやフェルメールらのような代表的画家たちの活動を紹介する。

 

第24回目:6月15日(日) 風景画ジャンルの専門画家たち

風景画が、「暖炉画」としてオランダ市民の生活の中にしっかりと組み込まれていくにつれ、オランダでは、他の分野と同様、ジャンルの専門分化が進んで行く。例えば、海景画、タウンスケープ等々それぞれの専門分野で活躍し、名を高めた画家たちの活動を紹介する。

 

 

●時間:15:00〜17:00(各回とも/質疑応答時間を含む)

 

●受講料:1,500円(一回の受講につき)/大学生:1.000円

 

●場所:六角舎アートスクール(京都市中京区西洞院通六角下ル池須町408-1 北川ビル2F)(アクセス)

 

●お申し込み:お名前と電話番号、受講希望日をご記入の上、メールでお申し込みください。

(※会場の都合により、定員になり次第お申し込みを締め切らせていただきます。また、天候その他の状況により、日程の変更の可能性がございます。)

 


講師紹介


潮江宏三(京都市立芸術大学名誉教授・前京都市美術館長)

 

京都大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士

著作:「銅版画師ウィリアム・ブレイク」(京都書院)

   「西洋美術史案内」(はしもと出版工房)

   「西洋美術ー新しい視座から」(編・昭和堂) など

 


これまでの講座内容


<season1のまとめ>

2021年10月3日(日)   第1回:「ジョットとレリエーヴォ」(終了しました)

2021年10月31日(日) 第2回:「ファン・エイクと空気遠近法」(終了しました)

2021年11月28日(日) 第3回:「遠近法」(終了しました)

<season2のまとめ>

2022年4月17日(日)     第4回:「カラヴァッジョ登場!通俗性の衝撃」(終了しました)
2022年5月15日(日)     第5回:「南方のカラヴァッジェスキ」(終了しました)
2022年6月12日(日)     第6回:「北方のカラヴァッジェスキ」(終了しました)

<season3のまとめ>

2022年10月9日(日)   第7回:「ヴェネツィアの美術文化とベッリーニ一族の登場(終了しました)

2022年11月6日(日)     第8回:「ジョルジョーネとティツィアーノ(終了しました)

2022年12月4日(日)     第9回:「ティントレットとヴェロネーゼ(終了しました)

<season4のまとめ>

2023年4月16日(日)  第10回:「ロココ美術」(終了しました)

2023年5月21日(日)  第11回:「新古典主義」(終了しました)

2023年6月18日(日)  第12回:「ロマン主義」(終了しました)

<season5>

2023年10月15日(日) 第13回:「エル・グレコ到来」(終了しました)

2023年11月19日(日) 第14回:「ベラスケスとスペイン・バロック」(終了しました)

2023年12月17日(日) 第15回:「ゴヤとその時代」(終了しました)

<season6のまとめ>

2024年4月14日(日) 第16回:「西洋風景画物語1(終了しました)

2024年5月19日(日) 第17回:「西洋風景画物語2(終了しました)

2024年6月16日(日) 第18回:「西洋風景画物語3(終了しました)

<season7>

2024年10月6日(日) 第19回:「西洋風景画物語4(終了しました)

2024年11月17日(日) 第20回:「西洋風景画物語5(終了しました)

2024年12月15日(日) 第21回:「西洋風景画物語6(終了しました)